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【一人っ子の介護不安】両親が元気なときにこそ考えたい「いつか来る現実」と心の準備

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18歳の夏、母の入院で初めて意識した「親の老い」と「介護」

「腎不全」という言葉を初めて聞いたのは、私が16歳の夏でした。

母が入院し、医師から「近い将来透析が必要になる」と告げられた日のことは、今でも鮮明に覚えています。結局、栄養学を学んでいた母は、透析を選ばず、厳格な食事療法で病気と向き合う道を選びました。それから25年。母は驚くほどの意志の強さで、食事療法だけで腎機能を維持し続けました。

でも、16歳の私にとって、あの入院は人生の転機でした。

「いつか、母の介護が必要になる」

そんな漠然とした不安が、心の奥底に根を下ろしたのです。20歳を過ぎた頃には、それは「もしかしたら」ではなく、「いつか必ず来る現実」として、私の中で確信に変わっていました。

一人っ子のプレッシャー。「介護は全部私が背負う」という恐怖

私は一人っ子です。

「将来、介護が必要になったら、全部私が背負うことになる」

その恐怖は、年齢を重ねるごとに大きくなっていきました。

友人たちが兄弟姉妹と旅行に行った話や、「妹と親のことで相談した」という何気ない会話を聞くたびに、胸がざわつきました。兄弟がいれば、親のことを共有できる。一緒に悩み、一緒に決断できる。でも、私にはその相手がいない。

もちろん、兄弟がいても仲が良いとは限らないし、介護で揉めることもあると聞きます。「一人っ子の方が、変な気を遣わなくていいのかも」と自分に言い聞かせることもありました。でも、それは強がりでした。本当は、家族内の人間関係を共有している誰かがいてほしかった。

そして何より恐れていたのは、母の言葉でした。

「一人っ子だから、あなたは大変ね。将来私が弱ったら、当然、北海道に帰ってきてくれるわよね」

母は心配性で、過干渉なところがあったので、娘としては一定の距離を取りたいと思っていました。でも、その言葉は「介護は義務」だと言われているように感じました。まるで、私が親を看取るために生まれてきたかのような。。

「北海道に帰ってくるわね」という母の言葉。仕事と遠距離介護の狭間で

私は大学入学を機に上京し、卒業後は東京で仕事に就きました。

田舎が嫌いで、東京に憧れて出てきた。最初は全然自信を持てないまま走り続けて、ようやく形になってきたキャリアも、積み上げてきた人間関係も、この生活も、手放したくありませんでした。

でも、母の言葉が頭から離れません。

「北海道に帰ってくるわね」

そう言われるたびに、自分の人生と親の人生の境界線が分からなくなっていきました。

不安は具体的なものになっていきました。

  • 介護が始まったら、私の仕事はどうなるのか。
  • キャリアを捨てて北海道に帰らなければならないのか。
  • そもそも、母とは性格が合わない。すぐに喧嘩してしまう。そんな親と、どうやって介護という密な関係を築けばいいのか。
  • お金はいくらかかるのか。私の貯金で足りるのか。
  • 父とは元々、会話ができる関係ではない。介護のことなど、とても話題にできない。

両親が将来介護が必要になったときのことをどう考えているのか、私に帰ってきて欲しいということ以外は、全く分かりませんでした。聞きたくても、聞ける雰囲気ではありませんでした。

何もできなかった20代

20代の私は、ただ不安を抱えているだけでした。

周りの友人たちは、家族で海外旅行に行った話や、「親子でマラソンを完走した」などという元気なエピソードを楽しそうに話していました。羨ましかった。私だけが、暗い未来を想像しているような気がしていました。

当時、私は結婚していました(今は離婚しています)。夫に相談しても、「そんな先のことなんて、全然分からないよ」と軽く流されました。夫の両親も世界一周旅行に行くほど元気で、介護なんて遠い先の話。全く共感してもらえませんでした。

誰にも理解してもらえない。

そんな孤独感の中で、私は「遠距離介護」とネットで検索し、介護の本を何冊か買いました。でも、読む気になれませんでした。読んだら、現実になってしまうような気がして。本は本棚に並んだまま、数年間放置されました。

30歳で初めて誰かに相談。「不安は情報収集と準備で和らぐ」という気づき

30歳になった時、ついに友人に相談しました。

大学時代のサークル仲間で、信頼できる男性の友人でした。彼のお母様が介護の現場で働いていると聞いて、勇気を出して話してみたのです。

「実は、将来の親の介護がすごく不安で…」

友人は真剣に話を聞いてくれました。そして、彼のお母様がわざわざ時間をとり、相談に乗ってくれたのです。

「不安に思うのは当たり前。でも、今から全部決める必要はないのよ。少しずつ、情報を集めて、心の準備をしていけばいい。大丈夫よ。」

その言葉に、どれだけ救われたか。

初めて、自分の不安を言葉にして、誰かに受け止めてもらえた。それだけで、少し楽になりました。

不安を抱えることは、悪いことじゃない

あれから10年近くの歳月が流れ、実際に介護が始まって2年が経ちました。

振り返ってみると、あの頃の漠然とした不安は、決して無駄ではありませんでした。早くから「いつか来る現実」として意識していたからこそ、いざという時に少しだけ冷静でいられたのかもしれません。

もちろん、実際の介護は、想像していたものとは全く違いました。不安だったことの半分は杞憂で、残りの半分は想像を超える大変さでした。

でも、一つだけ確信を持って言えることがあります。

両親が元気なうちから、将来の介護について考え始めることは、決して早すぎることはない。

不安を感じることは、悪いことじゃない。むしろ、それは「準備をしよう」というサインなのだと、今なら分かります。

もしあなたが、私と同じように漠然とした不安を抱えているなら、それを否定しないでください。その不安は、あなたが親のことを考えている証拠です。

そして、できれば誰かに話してみてください。友人でも、同僚でも、ネットのコミュニティでも。一人で抱え込まないでください。

介護は、突然始まります。

でも、心の準備は、今日からできるのです。


【次回の記事】

漠然とした不安を解消するために、私が具体的に動いたことをまとめました。

👉 介護が始まる前にしてよかった準備・後悔していること|お金・仕事・実家の片付け

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